1. ブレークアップって何?

夜空の一点から突然光が吹き出し、空全体に一気に広がっていくオーロラの様子が、まるで空が破れたかのように見えたのでauroral breakup (破れる)と呼んだのだと思います。むりやり日本語に訳すと、「オーロラ爆発」ということになるでしょうか。

オーロラの素睛らしさを、色と形と動きで表現すると、ブレークアップは、「いろいろな色の、いろいろな形のオーロラが、全天をいろいろなスピードで動きまわること」とか、「空の各部分が、いろいろな色、いろいろな形で勝手に動いている様子」とでもなるでしょう。何百回もオーロラを見慣れている科学者でさえ、ブレークアップが頭上で発生すると、全身にパルスが走るといいます。ブレークアップは、数分間しか続きません。

それにしても、「空が破れる」とはただことではありませんね。私たち地球上の生命を、いつも上から見守ってくれているのが天空なのですから。紀元前4世紀、ギリシアの哲学者アリストテレスは、オーロラを「天の裂け目から吹き出す炎である」と説明しています。

ブレークアップという言葉は、いまではオーロラ物理学の専門用語となっていて、オーロラの学術論文にこの言葉がさかんに出てきます。ちなみに、ブレークアップが、なぜ、どのように起きるかについて、学界で一致した理論はまだありません。

どんどん近づいてくると、光っている部分が何本にもなり、夜空一面にオーロラが動き出します。 さあ、ブレークアップbreakupの始まりです。