10. 磁石の向きはどこでも同じ?

「磁石のN極が北を向く」ことは、みなさんよくご存じの通りですね。ところで、日常生活で「北」という場合、それは「地理的な北」のことを指します。地球の自転の軸が地表と交わるのが北極と南極で、「地理的な北や南」というのは、これらの極の方向を言います。これに対して、磁石のN極が指す方向を「磁気的な北」と呼びます。違った呼び方をするのは、磁気的な北と地理的な北は異なるし、場所によってそれらの違いもさまざまだからです。地理的な北から見た磁気的な北の角度のことを、偏角とよびます。

国土交通省の国土地理院から発行されている、一万分の一、二万五千分の一、五万分の一地形図には、「偏角補正値」の値が角度で10分の値まで表示されています。その地図の示す範囲において磁気コンパスで方位を測った場合、この値で偏角の補正を行うと正しい方位を知ることができます。日本付近の偏角は、九州南部では5度くらい、北海道北部では10度くらい、西向きになっています。

日本の偏角分布