11. 磁石の向きはいつでも同じ?

8と10で述べたように、磁石の向きは偏角と伏角という2種類の角度で表すことができます。実は、これらの角度は、時々刻々変化しています。変化しているとは言っても、微小なものですから、コンパスの針をじっと見ていてもその変化している様子を確かめるのは難しいでしょう。

地磁気の変化を高精度に測定する装置(地磁気変化計と呼ばれます)を使うと、この時々刻々の変化を知ることができます。通常、偏角や伏角は1日ごとにほぼ周期的に変化しています(日変化)。この変化の大きさは、角度にして2~3分という大きさです。1分は角度にして1度の60分の1ですから、よほど目が良くて根気のある人でも、この動きに気が付くことはできないと思います。1日ごとの変化だけでなく、地磁気は常に変動を続けているので、磁石の向きも常に変化し続けています。