2. なぜN極は北を指すの?

磁石にはN極とS極があります。S極からN極へ向かう方向を、磁石の向きといいます。この2つの極をばらばらにすることはできません。NとSはいつも対になっているのです。

磁場の中に置かれた磁石には、N極を磁場の方向に、S極を反対の方向に動かすような力が働きます。したがって、磁石の向きが磁場の向きと異なる場合は、磁石全体には一方向に動かす力ではなく、磁石が磁場と同じ方向になるように回転させる力が働くことになります。磁石は磁場の方向を中心にして、最初に向いていた方向とその逆の方向の間で永遠に振動することになります。しかし、実際には、例えば磁気コンパス*の場合を考えると、コンパスの針と針を支える部分との間に摩擦があるので、振動はすぐに小さくなって釣り合いの方向でとまります。この釣り合いの方向とは、磁石に回転力が働かない方向ですから、磁場の方向でもあります。

答えを出すまで長くなりましたが、磁石が北を指すのは、地上ではほぼ北向きの磁場があるからです。

*磁気コンパス:磁気羅針儀ともいわれ、磁石のN極が北を指すことを利用して方位を知るための道具。磁気コンパスには、ハイキング用の簡単なものから、測量用や船舶に積まれている本格的なものまであります。