21. ブラジル異常ってなに?

おおざっぱに言うと、地球磁場の強さは両極付近において、赤道付近に比べおよそ2倍になります。つまり赤道付近の磁場はもともと平均的に弱いのですが、ブラジルの東海岸付近では、地球の磁場強度が極端に弱い領域が広がっています。この領域は「ブラジル磁気異常域」と呼ばれています。

前項の地磁気異常とは異なり、ブラジル異常は標準磁場にも明瞭に見ることができます。磁場強度が地球上最も弱いため「異常」と呼ばれますが、大きさや形が時間的に変動していることから、火山の影響などによる局所的な異常ではなく、核のダイナモ作用によって発生していると考えられます。

このように磁場が弱い場所では、地球の外から飛来する高エネルギーの粒子が比較的簡単に、人工衛星が飛行する高度にまで降りてくることができます。このため、ブラジル磁気異常域を飛ぶ衛星は、傷害をより強く受けやすいことが知られています。