31. 恐竜などの生物の絶滅は地磁気の逆転と関係ある?

恐竜が絶滅したのは、およそ6500万年前のことです。この他にも、地球上のほとんどの生物が一斉に姿を消す大絶滅が何回かあったことが知られています。こうした絶滅が、地磁気の逆転の時に磁場強度が弱まったことと関係があるという考え方があります。生物が危険な高エネルギー粒子にさらされたことによる、という考えです。たしかに、地磁気が逆転する時には、磁場が弱くなると考えられますが、それによって宇宙物質の地上への放射がどのくらいの量になるのか、よくわかっていません。従って、地磁気の逆転によって生物の大絶滅がもたらされるかどうかもよくわかりません。

「わからない」というだけでは答えにならないので、あえてイエスかノーかで答えれば、恐らくイエスの可能性は低いでしょう。こう考える理由の一つは、地磁気の逆転は、生物の大絶滅の頻度に比べればはるかに頻繁に起こっているということです。つまり、大絶滅とほぼ同時に起こった地磁気の逆転はたしかにありましたが、他のほとんどの逆転は大絶滅とは何の関係もなく起こってきたのです。統計的には、両者の間は無関係と考えるべきだということになります。