34. 地磁気の日変化の大きさは?

日変化の大きさは、日本付近では平均すると地磁気の強さにして50nTくらいです。つまり地磁気の強さそのものの 0.1パーセント程度の、非常にわずかな変化です。磁気コンパスの針の振れ角すなわち偏角の日変化は、角度で3分の大きさ程度しかありません。

吊り磁石式地磁気変化計。暗い部屋の中で、鏡をつけた細い糸で磁石を南北に向けてぶら下げ、鏡で反射した光がドラム上に像を結ぶようにしてあります。偏角が変化すると磁石が回転しますので、鏡の向きが少しだけ変わります。ドラムに感光紙を巻き付けて一定速度で回転させると偏角の時間変化を記録することができます。
地磁気水平成分の日変化(グァム島)。2005年9月 19日-23日の5日間について示す(矢印は正午)。

このくらいの角度の変化でも、急激におこれば針の動きを目で見ることもできますが、日変化は何時間もかけてゆっくりと変化するので、目で見ることはできません。偏角の日変化による磁石の動きを見るためには、動きを拡大する必要があります。例えば、磁石を細い糸で吊って、糸に鏡をつけたものを用意します。この鏡に前方から光をあてて反射した光の通る位置を、少し離れたところで見ることにします。磁石の向きが変化すると糸がねじれますので、鏡の向きもわずかに変化することにより反射した光の通る位置も変わって行きます。光源と鏡と測定する場所の距離が大きければ大きいほど、糸のねじれを拡大してみることができますね。最近ではあまり使われませんが、実際にこのような原理で地磁気の微小な時間変化を測定する器械があって、吊り磁石式地磁気変化計と呼びます。