38. 地磁気の観測で地震を予知できる?

地磁気の観測に限らず、実用的な意味で地震予知を行う方法はまだありません。地震が発生する直前には、震源の断層面にかかる力がゆっくりと変化すると予想されているので、日本の予知計画では、それに伴うわずかな地盤の変動を検出することが有効とされています。力が地震前に変化すれば、圧磁気効果*で磁場が変化することも考えられます。しかし、地震発生の前の力の変化は、地震発生時の変化に比べ、小さく非常にゆっくりしているので、磁場の変化もそれに比例して小さいことが予想されます。このためか、地震の前に磁場の変化が観測されたという報告はほとんどありません。

圧磁気効果以外にも、地震の前に磁場を変化させるメカニズムはいくつか考えられており、さかんに研究が行われています。このような磁場の性質が明らかになれば、これを観測によってとらえる努力をすることにより、原理的には予知が可能であると言えます。しかし、原理的に予知が可能であるとしても、科学的な検証を経て実用化に至るまでには、さらに相当の時間が必要であると思われます。

圧磁気効果:圧縮や引っぱりなどの力によって、磁気鉱物の磁気が変化する現象。