4. 磁石はいつどこで発見されたの?

書物で、はじめて磁石というものについて述べたのは、古代ギリシャの哲学者タレス(紀元前624~546)だと言われています。実は、アリストテレス(紀元前384~322)の書物で述べられているのですが、タレスは「万物に霊魂が備わっていること」を主張するために磁石を引き合いに出したのであって、新しい発見として磁石のもつ力(磁力)を語ったのではないようです。つまり、タレスの時代に、すでにギリシャ世界では磁石の存在や鉄を引きつける力としての磁力は、かなり知られていたことになります。

ギリシャのマグネスという羊飼いが、鉄くぎが引きつけられるのを見て偶然磁石を発見したという伝説も残っていますが、定かなものではありません。当時は、物と物とが直接触れることなく力を及ぼす磁力が非常に神秘的なものと捉えられていて、プラトンやアリストテレスなどの多くの哲学者が興味を示し、その学問的説明を試みました。