9. 地磁気は棒磁石のつくる磁場に似た形だって本当?

子供のころに、砂鉄と磁石で遊んだ経験をお持ちの方が多いことでしょう。砂鉄をガラスの上にまいて、ガラスの下に磁石を近づけると、砂鉄が磁石のつくる磁場に引き寄せられるのです。この砂鉄の並びによって、普段は見ることのできない磁力線の形が、下図のようなものであることを見ることができます。

棒磁石はN極とS極が直線上に並んでいますが、磁石を削って球にしてもこれらとほぼ同じ磁場が現れます。イギリスのギルバートは球磁石の周囲の磁場の方向を測定することによって、そのころすでに知られていた地球上の伏角の分布を説明できることを示しました。そして、1600年に出版した「De Magnete」という本の中で、地磁気は地球が磁石になっているために発生している、言い換えると地磁気の主要な原因は地球の内部にあると結論しました。みなさんはそんなこと当たり前だと思われるかも知れませんが、当時は地磁気の原因が天球の極にあるという説も有力で、科学者の間で論争中だったのです。

砂鉄の実験によって見える磁力線の形