33. 宇宙線で火山のマグマの状況がわかる?

宇宙線のエネルギーは、どうやら使えそうにないことがわかりました。それでは、全然役に立たないものなのでしょうか。ここでは宇宙線が役立つ例を紹介しましょう。

宇宙線の中には、1km位は岩石を平気で突き抜けることができるミュー粒子が含まれています。このミュー粒子の性質を利用して、ピラミッドの中に秘密の洞窟があるかないかを調べた人がいました。秘密の洞窟があればミュー粒子の数が増え、洞窟がなければピラミッドの岩石中で吸収されて数が減るのでわかります。

また最近では、浅間山や乗鞍岳にミュー粒子を観測する装置を設置して、火山の中心部のマグマの様子がわかるかどうか調べた人もいます。結論は、大規模な装置を置けば、雲仙普賢岳のマグマの状態を、X線写真のようにミュー粒子を使って見ることはできます。しかし、費用が500億円程かかるということです。