46. 宇宙線期限の放射性同位元素を測ると、過去の太陽活動がわかる?

宇宙線が地球大気に衝突すると、ベリリウム10とか炭素14という放射性同位元素を作ります。ベリリウム10は成層圏(地上約20km)から対流圏の上層部(地上約10km)で作られ、約1~2年でエアロゾル(大気微粒子や塵)にくっつき、極地に落下します。一方炭素14は炭素同化作用で樹木のセルロースに閉じこめられます。

これら宇宙線起源の同位元素は、過去5000年の太陽活動や地磁気の変化のトレーサーとなり、過去の太陽活動の痕跡を残しているのです。

どうして太陽活動に11年周期があるのか、木の年輪に80年周期が見出されるのか、こういう問題が太陽の対流圏の運動とどう関連しているのか、興味ある基礎データがいま続々得られつつあります。

Jurg Beer 氏による過去の宇宙線強度。38000年前に強い宇宙線のピークがある。図の下の線は酸素18の変動で、38000年前は大きく変動していない。