48. マウンダー極小期の寒冷化も宇宙線の影響?

江戸時代の初めは、地球が寒冷化したことで知られています。その頃太陽表面には黒点はほとんど出現しませんでした。この事実は、放射性炭素やベリリウム10のデータからも追認されています。

でも太陽の表面から黒点が減ると、どうして地球が寒冷化するのでしょうか。寒冷化と言ってもグローバルに1~2度程度下がったということで、5度も低かったというような話ではありません。

これもフリツクリステンセン・スベンスマルクの仮説を使えば簡単に説明できます。太陽活動が長期に弱まり(約80年間)、長期にわたって銀河宇宙線がたくさん地球にやってくることができた。そのため霧が作られやすくなり、雲がたくさん作られ、地表を覆ったため、太陽光が反射されて地球が寒冷化したと説明がつけられます。本当にこのプロセスが存在するのだと証明することが、これからの大切な仕事になると思います。

名古屋大学の松本、北川両氏らによる屋久杉の炭素同位元素C13の変動値。マウンダー極小期に相当する1640年から1715年頃、C13が増大している。平均気温が約2度低かったことを示している。