5. 宇宙線を霧箱以外で、確かめられないの?

宇宙線は、コンクリートを突き抜けて建物の中にも入ってきます。宇宙線が部屋の中にやってきていることは、霧箱以外の方法でも確認できます。この冊子を読まれている方が中学生や高校生なら、学校の理科室をのぞいてみて下さい。そこには、箔検電器(はくけんでんき)というものがあるはずです。ガラス容器の中に、2枚のアルミの箔をつるしただけの、簡単なものです。自分で作ることもできますよ。

エボナイト棒を毛皮でこすって、この上に近づけます。エボナイト棒には静電気が起こって負の電荷が誘導されていますから、箔検電器の上の方には正の電荷が集まってきます。そのため、下の箔の方には反対の負の電荷が集まります。そして、同じ電荷同士は反発するので2枚の箔は開きます。そのままの状態で、手で箔検電器の上端をさわって負の電荷を逃がします。その後、エボナイト棒も手も箔検電器から遠ざけます。箔検電器には正の電荷だけ残り、何もしなければ、箔は開いたままです。

しかしどうでしょう。観察していると、箔はやがてしぼんでしまい、最後にはくっついてしまいます。これはなぜかというと、何か電気を持った目に見えない粒子が外部から飛んできて、4で書いたように宇宙線はイオンを空気中で作るので、せっかく摩擦により誘導された電荷を、これらのイオンが中和して弱めてしまうためです。この電気をもった見えない粒子こそが、宇宙線なのです。