発展編その1: 宇宙線はどうやって見つかったの?

9. 放射線と宇宙線は同じなの?

これで皆さんは宇宙線がどういうものなのか、大体のイメージは持っていただけたでしょう。大空の彼方から絶えずやってくる、宇宙の小さなメッセンジャーであるということが、わかっていただけたと思います。どうです、少し格好良いと思いませんか?

それでは、発展編でもっと宇宙線について勉強してみましょう。まず、宇宙線と放射線は同じものなのでしょうか?そこで放射線って何かを説明しましょう。

1900年頃、地球上の岩石から、目に見えない粒子が飛び出していることがわかりました。その粒子は、岩石を覆っておいた物質を通り抜けることができました。ウラニウムを多く含んだ鉱石の近くに写真フィルムをしばらく置いておいた後、現像してみると、写真フィルムが真っ黒になっていました。写真フィルムを感光させる「何か」が岩石から飛び出してきていることがわかったのです。この岩石に含まれている不思議な作用を生じる性質を、放射能と名付けました。目には見えないけれど、写真には写るわけです。

放射線にはアルファ、ベータ、ガンマの3種類があります。アルファ線は、紙一枚で遮断することができます。ベータ線はもうすこし透過力があり、アルミの板で遮断できます。ガンマ線は鉛の板で遮断できます。今日ではアルファ線は正の電荷を持ったヘリウムの原子核、ベータ線は負の電荷を持った電子、ガンマ線は電荷を持たないエネルギーの高い光の粒であることがわかってきました。実は、宇宙線は放射線の一種なのです。しかし、宇宙線のエネルギーは、放射線よりはるかに高いのです。

それでは、宇宙線は体に毒なのでしょうか?それを次に説明します。