12. 放射線帯は偶然見つかったの?

放射線帯の発見については、有名なエピソードが残っています。もともと、バンアレン教授のグループは、宇宙からやってくる宇宙線を測る目的で、放射線の量を測る装置「ガイガーカウンター」をエクスプローラーに搭載しました。

エクスプローラーの打ち上げ後、高度が上がるにしたがって、 予想どおり高エネルギー粒子の数が増えていきました。ところが、 しばらくすると、その数は 0 になってしまいました。バンアレン教授らは、人工衛星に積んでいたカウンターが壊れたのだと考え、 もう一度実験を行いました。しかし、そのときもやはり同じように、0 になったのです。

この結果を見た研究グループの大学院生は、高エネルギー粒子 の数が 0 になったのではなく、あまりにも多いために計測器が正確に動かなくなり、見かけ上 0 になったのではないかと考えました。そこで今度は、数が多くてもきちんと計測できるように装置を改良し、実験を行いました。その結果、地球のまわりには、エネルギーの高い粒子が大量に満ちている領域、すなわち、放射線帯が存在していることが発見されました。

こうして、宇宙線を観測するために行った実験から、「地球の磁 気圏自身がエネルギーの高い粒子を捕捉している」という、予想 外の発見が生まれたのです。この発見から今日に至るまで、人工 衛星による地球磁気圏の探査が活発に続けられていますが、バン アレン教授の発見はまさに、「宇宙時代」の幕開けを飾るにふさわしい出来事となりました。