18. なぜ電子の放射線帯は2つのベルトになっているの?

17でお話したように、数百キロ電子ボルトの電子の放射線帯は内帯と外帯の 2 重の構造を持っており、その間にあるスロットと呼ばれる領域には、粒子が存在しません。なぜベルトが 2重になっているのかというと、もともと1つだったベルトに、粒子が存在しない領域ができたため、内帯と外帯に分かれたのだと考えられています。

では、どうして粒子はなくなったのでしょう? 放射線帯の粒子が減るしくみの 1 つに、地球の大気に落ちていくというプロセスがあります。スロット領域では他の場所に比べて、この落ちていく効率が高いためだという説が有力です。

このような放射線帯の 2 重構造は、電子だけに見られるユニークなもの。放射線帯イオンの分布は、1 重の構造です。木星や土星にある放射線帯も、リングや衛星などとの相互作用の結果、粒子が存在しない場所がありますが、地球のようなスロット構造はないと考えられています。

この冊子では、以下、電子の放射線帯を中心にご紹介します。