22. なぜ地上には放射線帯の粒子がこない?

実は、私たちの住む地上は、2つのバリアによって放射線帯の粒子から守られています。1つめのバリアは、地球の磁場。放射線帯の粒子は、磁力線に沿って南北に往復していて、ある一定の高度にくるとそれより下には進めず、磁力線に沿って上向きに戻っていきます(15 参照)。つまり、放射線帯の粒子は、地表には直接届かないことになります。

そして、もう1つのバリアは大気。南北に往復している粒子のうち、いくつかは反射されずにそのまま低高度に進んできます。粒子が低高度に進むにつれて、地球の大気の密度はどんどん濃くなり、粒子は大気と衝突してエネルギーを失っていきます。エネルギーが小さくなってしまうと、そのまま進み続けることはできません。ですから、放射線帯の粒子が直接地表にくることはないのです。ちなみに、約1MeVのエネルギーを持つ電子であれば、高度60km付近まで入ってくることがしられています。これらのエネルギーの高い電子は、超高層大気(中間圏と呼ばれます)で中性大気と衝突し、複雑な化学変化を引き起こすことによって中間圏のオゾンを破壊することが指摘されています (39参照)。