放射線帯と宇宙活動

35. 宇宙放射線で人工衛星が壊れるってホント?

放射線帯の粒子はエネルギーがとても高いので、物質を通過することができます。人工衛星にはシールドがほどこされ、放射線粒子が機器に直接衝突しないよう工夫されていますが、それでもときにはシールドを突き抜けて、搭載コンピュータに直接ぶつかり、誤動作させて偽の命令を人工衛星にだすことがあります(ファントムコマンドと呼ばれます)。それに、人工衛星の中に電荷をためてしまい(帯電)、放電事故を起こす原因になったりもします。放射線帯粒子の影響で、衛星放送の中継がとだえてしまったこともありました。

人類が宇宙を安全・安心に利用するために、放射線粒子の影響に強い衛星の設計や、搭載装置の開発が続けられています。さらに、放射線帯の粒子がいつ増えるのかといったことがわかれば、人工衛星の一部の装置のスイッチを事前に切るなどして、影響をおさえることができます。放射線帯の粒子の変動を把握し、予測を行うことの大切さがわかりますね。