ほかの惑星の放射線帯

46. 宇宙空間には、放射線帯の粒子以外にどんな放射線がある?

5 などで説明したように、宇宙放射線には、放射線帯の粒子、遠い銀河系からやってくる宇宙線、太陽からやってくる太陽放射線があります。3つの中で最もエネルギーが高いのは宇宙線。そのエネルギーは、TeV*にも達します。

「自然界に存在する粒子のエネルギーは、最高でどれくらい高いのか?」という問いは、物理学のきわめて重要な課題です。しかし、太陽系や遠くの銀河系で、実際に粒子の加速が起こり、高エネルギー粒子がつくられている「現場」は、人工衛星などで直接調べることができません。

一方、地球の放射線帯はというと、太陽放射線や宇宙線に比べて最高エネルギーは低いものの、粒子の加速が起こっている現場を直接調べることができますね。したがって、放射線帯の粒子加速を研究することは、宇宙の最高エネルギーの粒子の研究にもつながる、意義深いことなのです。

* TeV(テラエレクトロンボルト): テラとは、10 の 12 乗の単位。1 TeVは 1,000,000,000,000 eV のことで、1 TeV の粒子は、地球の磁気圏にあるMeV の粒子よりも、さらに 100 万倍以上も高いエネルギーを持っています。