17.氷河の表面やクレパスの中が青く見えるのは何故?

氷河の氷はグレシャーブルー(氷河の青)と呼ばれる神秘的な青白い色をしています。15.で書かれていたように氷河の氷は雪が長い年月をかけて押しつぶされて氷になったものです。氷の中に空気の泡(気泡)が多く含まれていると氷は白っぽく見えます。これは光が表面で乱反射するためで、すりガラスが白っぽく見えるのと同じです。氷が圧縮されていくと雪や氷の中に含まれていた空気が外に逃げたり氷の結晶の中にとりこまれて普通のガラスのように透明になってきます。透明になると、光は氷の奥深くまで入って行くことができるようになりますが、氷を作っている水は赤い色の光を吸収し、青い色の光は吸収しにくい性質を持っているため氷の中では青い光がどんどん先へと進むことができます。そこで、氷河の内部で何度も反射してから私たちの目に届く光は青い色をしているのです。

クレバスは、氷河にできる幅数センチから数メートルで深さ十から数十メートルの深い氷の割れ目ですが、表面から入った光がクレバスの亀裂の壁面から出てきて青く光って見えます。

昭和基地から約300km離れた大陸域にある「みずほ観測拠点」は氷の中に埋もれています。クレバスではありませんが、大きく掘った氷の穴(氷の部屋)に太陽の光が入ってくると、青に近い紫色に見えます。あまりにも幻想的な美しさのため、「むらさき御殿」と呼ばれています。