4. 北極基地はどこにある?

北極地域にも、どこの国にも属さない地域があります。それは、北欧のノルウエーの北方約1000kmにあるスヴァールバル諸島。スヴァールバル諸島は、もっとも大きなスピッツベルゲン島、5つの大きな島、そして数多くの小島からなっています。これらの島々が位置するのは、北緯77度から81度。1920年に決められたスヴァールバル条約により、主権はノルウエーに与えられていますが、島が領土でないのでノルウエー人は本籍を置くことはできません。条約では、ノルウエーを含め、どの国もこの諸島内に軍事基地を置くことは禁じられています。スピッツベルゲン島は、昔は石炭の採掘で栄えていましたが、いまでは、ほそぼそと掘っている程度です。また、島の周りはエビやホタテが採れる漁場が広がっています。島内の首都のロングイアービエンにはノルウエー本土のトロムソーからの定期航空便があり、夏には多くのツアー客が北極の自然を楽しみにやって来ます。

ロングイアービエンの北方約100kmにあるのが、北緯79度55分のニーオルスンという国際共同の観測基地。かつては北極探検の拠点であり、それを記念して、探検家で有名なノルウエー人のアムンゼンの銅像や高い鉄塔が立っています。現在では、世界各国から科学者が極地観測や研究のために訪れます。日本の科学者は1980年代半ばからここでオーロラ等の観測を始め、1990年代からは、いろいろな科学分野の本格的な北極観測が始まったのです。

アムンゼンは初めて南極点に到達したことで有名ですが、北極ニーオルスンを拠点に飛行船によって北極点にも到達しました。両極到達に成功した最初の探検家です。