43. 砕氷船は氷の中をどのように進むの?

日本の南極観測船は、初代の「宗谷」、2代目の「ふじ」、3代目の旧「しらせ」についで、4代目の新「しらせ」が日本と昭和基地を毎年往復しています。現在の「しらせ」は、船長138m、船幅28m、満載の排水量12,5000トンもある世界でも最大級の砕氷船です。

しらせは、氷の厚さ1.5mまでの海氷を時速3ノット(約時速6km)で割りながら進むことができます。しかし、沿岸域では、岸と連結した定着氷が広がっており、氷の厚さも1.5mよりも厚くなるために連続的に氷を砕いて進むことはできません。その時は、船体を氷の上に乗り上げ砕氷船自身の重さで氷を砕いて航行しています。船をいったん200から300mくらい後退させ、再び最大馬力で前進して氷に体当たりして氷に乗り上げて氷を上から砕きます。この後退と前進の繰り返しをチャージングと言います。1回のチャージングでは数10mから数100mしか進むことができませんので、昭和基地に接岸するまでチャージングを繰り返します。この回数は氷の状況によって毎年異なります。例えば2014年には3187回のチャージングを行ったのに対して2017年はたったの27回でした。

海氷を割りながら昭和基地にむかう 2 代目しらせ。 提供:国立極地研究所 平沢尚彦氏