49. 昭和基地の電気はどうしている?

南極で越冬生活をするうえで最も大事なことは電気エネルギーをどう確保するかです。発電機は基地の「心臓」です。1957年の第1次南極観測越冬隊は20kVA発電機を観測船「宗谷」で持ち込んで、観測機器、生活に必要な機器(暖房)に使いました。しかし、十分な燃料はなかったので、夜の10時から翌朝6時まで停めて燃料を節約しました。以後、観測船「ふじ」や「しらせ」によって多くの物資を運ぶことができるようになって、基地は年々発展し、建物、観測機器、暖房器具、冷凍機、そして、隊員が使うパソコンも増えました。現在では300kVA発電機2台が据え付けられています。この発電機を動かすため、年間約560キロリットルのデイーゼル燃料が必要です。この大量の燃料を観測船「新しらせ」が運んでいます。しかし、タンク容量にあまり余裕はありません。

このような事情で、昭和基地では、再生可能な発電エネルギーとして、太陽光発電や風力発電の試験運転を続けています。昭和基地では、夏の期間、太陽が沈まないので、常時太陽光発電が可能です。太陽光パネルを北方向に向けて、さらに北東、北西方向にも設置して、発電量は年間の消費電力の3%になります。また、いろいろな型の風車を用いた風力発電機もテストされています。強いブリザードをうまく利用できればよいですね。