5. 燃える氷って何?

日本はエネルギー資源が少ないので、多くの石油や天然ガスを輸入に頼っています。しかし広大な排他的経済水域(EEZ)の海底には、新たなエネルギー資源と期待されている「メタンハイドレート」がたくさん存在します。メタンハイドレートは、天然ガスの主成分であるメタンが、水分子で作られたカゴ状構造の中に入った物質です。見た目は氷のようですが、火をつけると内部のメタンが燃焼するので、燃える氷と呼ばれます。このメタンハイドレートは、低温でかつ高圧の環境でしか存在することができません。陸上の存在場所は北極圏の永久凍土地帯だけですが、海では水深が500mより深い沿岸域の海底の下に比較的多く存在すると考えられています。日本では2012年から実際に愛知沖(渥美半島~志摩半島沖)でメタンハイドレート層から天然ガスを取り出す試験を行い、エネルギー資源として利用することを目指しています。一方で、メタンガスは二酸化炭素(CO2)の25倍の温室効果があるため、採掘に関わるメタン漏出やメタンハイドレート層の崩壊などが、地球温暖化を加速するといった環境リスクも懸念されています。