36. 塵が積もると落下する?

標準モデルは、太陽系の様子や様々な太陽系外惑星を説明できることがわかってきました。では、これで本当に惑星形成は理解できたと言えるのでしょうか?

実は、標準モデルは非常に複雑なプロセスで、まだ完全に理解できたとはとても言えません。ちょっと考えてみても、塵同士が衝突しても、くっつくとは限らないですよね?原始惑星系円盤内では、塵は弾丸以上の速度で飛び交っているので、衝突したら木っ端みじんに破壊されてしまいそうに思えます。実際は、条件によって、くっつく場合も破壊される場合もあります。このため、シミュレーション以外にも、室内での衝突実験なども行って、実際のプロセスを研究しています。

さらに、原始惑星系円盤内では、ガスと塵や惑星が一緒にまわっています。その間の摩擦によっては、塵が運動エネルギーを失って、中心の原始星に落下するかもしれませんし、せっかくできた惑星も、落下してしまうおそれがあります。これでは、本当に惑星ができるとは限りません。こういった問題を解決すべく、様々な研究が行われています。

そして、発見された惑星系や、様々な観測事実をきちんと説明できることが重要となります。実際に発見された惑星系は、非常に多様性に富んでいます。これらを説明するには、いろいろ条件を変えてシミュレーションをする必要があります。一方、観測手法によって得意不得意があって、発見された惑星の分布には大きな偏りがあります。このため、本当の惑星の分布を知ることが難しくなっています。こうした、理論・観測の双方の問題点を解決して、両者を比較する必要があります。

この様に、方向性が定まったとは言え、惑星誕生の理解にはなお多くの問題があります。