12. 太陽に磁石があるってどういうこと?

太陽の内部では、磁力が作られています。太陽の内部で作られた磁力線のかたまり(磁力管)は、ゆっくり浮上して表面に現れます。表面でその磁力管を輪切りにした断面が、実は黒点なのです。したがって、1 つの黒点は、磁石の1 つの磁極に対応します。黒点は通常、N 極とS 極のペアで現れますが、それはこういう理由からなのです。黒点上空のコロナ(太陽の外側の大気)を X 線で見てみると、そこには、ペアとなっている黒点をつなぐような磁気ループが輝いています。まさに、棒磁石の上に砂鉄をまいたときにできるような模様が見えるのです。

太陽表面に、黒点が何個も同時に存在するときもあります。そのようなとき、太陽表面は磁石だらけになっているわけですね。マグネトグラフと呼ばれる観測装置を用いると、太陽表面にちらばっている磁石の強さを測定することができます。今まで観測された一番磁力の強い黒点では、その磁束密度は 4000 ガウスにもなります。これは、日本あたりの磁場の強さの、1 万倍以上です。

左は可視光で観測した黒点のペア。右は同じ領域の X 線写真。黒点のペアをつなぐ明るいループ(磁力線)が見えます。