36. 太陽風はどこまで吹いているの?

太陽風が流れている空間を太陽圏heliosphere-ヘリオスの支配する空間と呼びます。ヘリオスとはギリシャ神話に出てくる太陽神。毎朝、東の空から戦車に乗って駆けあがり、大地を照らしていると言われています。それではこの太陽圏、どこまで広がっているのでしょうか?

太陽風の圧力は、太陽から遠ざかるにつれて弱まります。そしてやがては、恒星間空間を漂うガスの圧力と釣り合うところで太陽風の流れは止まります。ここをくわしく見てみましょう。太陽風は星間ガスとの衝突により、急に減速され太陽風の ‘よどみ’ ができます。この急に亜音速になる場所は終端衝撃波、よどみはヘリオシース、流れがなくなる太陽圏の端はヘリオポーズとよばれます。太陽圏の大きさは、このヘリオポーズの位置で決まります。

1977年にボイジャー1号が太陽圏の境界へ向けて打ち上げられました。様々な惑星探査の後、2004年に94AUの距離で終端衝撃波を通過、そして2012年には122AUの距離でヘリオポーズに到達しました。太陽圏から脱出したボイジャー1号は、今も恒星間空間の観測データを地球へ送り続けています。

また、ほぼ同時期に打ち上げられたボイジャー2号は2007 年に84AU の距離で終端衝撃波を通過しており、もうすぐヘリオポーズに到達すると考えられています。