48. 太陽風は地球上から観測できるの?

夜空の星を見上げると、星はキラキラと輝いていますね。これは、星の明るさが実際に変化しているのではなく、星の光が大気によって散乱されるために起こります。この「キラキラ」はシンチレーションとよばれ、望遠鏡でのぞいたとき天体の画像をぼかしてしまうので、天文学者の頭を悩ませています。これと同じように、遠くの星や銀河からやってくる電波は、太陽風によって散乱されます。そのため、アンテナで電波星(強い電波を出す恒星や銀河)を観測すると、電波の強さがふらふらと変動するのです。

この電波のシンチレーションは、電波を発する星や銀河そのものを研究している人にとっては、じゃまなもの。でも、そのじゃまものを利用して、太陽風を調べることはできないかと考えた人がいました。電波シンチレーションの大きさは太陽風の密度に、変動の速さは太陽風の速度に、関係があります。観測によって、太陽風の速度や密度を、地上から調べることができるというわけ。電波シンチレーションを使った太陽風の観測には、巨大なアンテナと処理能力の高いコンピュータが必要ですが、探査機では難しい高緯度や太陽の近くの観測を、簡単に行なえます。また、太陽から吹き出す太陽風の全体像を短期間で調べることができる、という利点があるのです。