15. 太陽からは爆風が飛び出しているの?

強い太陽フレアがおきると、太陽コロナ中のプラズマが一気に噴き出すことがあります。これは、コロナ質量放出、英語でCME(Coronal Mass Ejection)と呼ばれています。一回で飛び出すプラズマの量は約100億t。CMEは太陽から地球まで、たった2,3日で移動してきます。速いCMEは超音速で飛んでくるため、その前面には衝撃波が出来ています。太陽から爆発的にコロナガスが飛び出す仕組みはまだ完全に解明されていませんが、リコネクションと呼ばれる黒点まわりの磁力線が急激につなぎ変わる現象と関係していると考えられています。

1971年12月14日、NASAの人工衛星OSO7号は、宇宙で人工的に皆既日食をおこして暗いコロナの写真をとるというコロナグラフ観測を行ってCMEを発見しました。その後、1996年から10年以上にわたるSOHO衛星の活躍で、これまで記録されたCMEの数は10000個以上にもなりました。

コロナグラフでCMEを詳しく監視することは、宇宙嵐を予測する宇宙天気予報に、いまやなくてはならない存在になっています。コロナグラフでリング状の形に見えるCMEが、宇宙天気の中では一番危ないCMEです。これは、地球に向かってくるCMEをあらわしていて、数日後にCMEが直接地球にぶつかって、強い宇宙嵐が発生しやすいことが予想されるからです。

肉眼でCMEを見たことのある人というのは聞いたことがありません。ところが、CME発見の100年以上前の1860年にスペインでおきた皆既日食のスケッチには、CMEのような模様が描かれています。ひょっとするとCMEを既に肉眼で確認していた幸運な人だったのかもしれませんね。