17. 電離圏がみだれるのはなぜ?

磁気嵐のときに宇宙の天気が変わるのは、オーロラが輝く高緯度地方だけではありません。日本の上空でも、電離圏の電子密度が、何時間もかけていつもよりも大きく増えたり、逆に大きく減ったりする「電離圏嵐」と呼ばれる現象が発生することがあります。電離圏嵐には、通常よりも電子密度が増大する「正相(ポジティブストーム)」と減少する「負相(ネガティブストーム)」とがあります。

電離圏嵐と磁気嵐の関係は単純ではありません。オーロラ活動が活発化することによって極域の電離圏が変化し、緯度の低いところにも伝わってくることなどが重要な要因として考えられています。

ちなみに、アマチュア無線やテレビ・ラジオの通信が不安定になる原因として知られている、スポラディックEと呼ばれる電離圏E領域の現象があります。スポラディックEというのは、突発的にE領域の電子密度が増加するという意味です。夏に発生することが多く、日本での無線やテレビ、ラジオ放送にも影響を与えています。スポラディックEの発生原因も、まだわかっていません。日本では、情報通信研究機構などで研究が進められています。