2. 宇宙天気を考えはじめたのはなぜ?

宇宙天気という言葉(英語ではSpace Weather)は、人工衛星やスペースシャトルによる本格的な宇宙利用が進んだ1980年代後半にかけて、日本も含めて世界中で盛んに使われ始めました。

今から約200年も昔の1808年、「宇宙にも嵐あり」と考えて、太陽と地磁気の関係について調べ始めた人がいます。ドイツの博物学者であり冒険家、フンボルトです。フンボルトは、近代地理学の基礎となる大著「コスモス」の著者としても有名です。

それから約40年が経ち、世界で初めて宇宙の嵐に悩まされた人物が登場します。太陽極大期の1847年5月、イギリス・ミッドランド鉄道の電信システムに流れる異常電流を見つけた電信技術者バーローです。その次の太陽極大期の1859年9月、イギリスのアマチュア天文家キャリントンは、太陽に現れた巨大黒点のスケッチ中に、強烈に輝くフレアを発見しました。これらの発見をきっかけにして、太陽黒点と異常電流などの研究が始まりました。

フンボルト(1769-1859)