48. 日食と宇宙天気に関係があるのはなぜ?

日食は、月が太陽を隠すことで、そのまわりのコロナが地上から肉眼で見られる現象です(第5問の口絵参照)。コロナは太陽風の源ですから、まさに宇宙天気を感じる一瞬と言えるでしょう。それにしても、地球から見た月と太陽のみかけの大きさが同じというのは、どういう偶然のいたずらなのでしょうか日食がおきると、太陽からの紫外線が当たらなくなり、この場所の電離圏の電子密度が薄くなります。このような状態では、電離圏を流れる電流のバランスが変わってしまうので、地磁気などにも、ふだんとは違う変化がおきることも予想されています。

最近では、2009年7月22日に鹿児島・沖縄地方で皆既日食が見られました。2012年5月21日には関東地方でも金環日食が見られる予定です。きれいな日食が見られるように天気が晴れることを祈りましょう。ちなみに古代バビロニアでは、紀元前600年ごろに日食の予報ができるようになっていたそうです。これは、太陽が星座の間を19周する間に月が223回まわることから、6585.5日間隔で似たような日食がおきることを利用したものです。

ところで、地球のまわりを飛行している人工衛星は、夜側で地球の影に入って太陽の光が当たらなくなることがあります。人工衛星に必要な電力は太陽電池パネルから供給されていますので、太陽の光があたらなくなることは、人工衛星の運用にとって不安材料です。地球の影に入っている期間は、バッテリからの電力で運用を行いますが、一部の機器の電源を切るといった省電力のための工夫も行われています。