49. 生命と宇宙天気の関係は?

オーロラの緑色は、酸素に電子がぶつかったときに発生する色です。地球の酸素は植物がつくりだしていて、生命活動にかかせないものですね。このためオーロラの緑色は生命の証と言われることがあります。実際、酸素がなく水素が大気の主成分である木星や土星ではピンク色のオーロラが光っています。広い宇宙を自由に冒険できる時代が来たときには、生命のしるしを探すために、ピンク色でなく緑色のオーロラの光る星を目指していくと近道かもしれません。オーロラは大気と宇宙の境目で、磁気圏で加速された電子が大気に衝突して光っています。大気も磁気圏も生命にとっては宇宙線に対するバリアであることは前に述べました。オーロラの光る星は、このバリア機能を備えた星をあらわしているともいえるのです。

土星には、タイタンという衛星があります。ヴォネガットの1958年のSF小説「タイタンの妖女」には、次のようなことが書いてあります「タイタンには3つの海があり、どれも地球のミシガン湖ぐらいの大きさである。」「もうひとつ、第四の海の初期段階ともいうべき93の湖沼の群れがある。」2004年、土星探査機カッシーニは、実際にヴォネガットが想像したような湖の群れを発見し、写真に捉えることに成功しました。タイタンにはメタンの雨が降り、メタンの湖が数多く存在していることがわかったのです。湖の存在は生命の存在を予感させます。この星をもっと詳しく調べるには、実際に誰かが(未来の宇宙飛行士が)行ってみるのが一番ですが、果てしなく遠いだけでなく、強い宇宙放射線に耐えなければなりません。宇宙天気の知識を総動員した、人類にとって究極の旅になることでしょう。