11.何が大気重力波を起こしているの?

大気重力波は簡単な振動ですから、さまざまな大気の乱れで発生します。特に大気の乱れが起きやすいのが、地上から 10 km までの高さの対流圏。ここでは、雲や台風、高い山による風など、いつも大気は乱れています。こういった乱れは、高い高度まで大気重力波として伝わって行きますが、上に行くほど大気の密度が薄くなるので、重力波の振動の振れ幅はどんどん大きくなるのです。

下から伝わってきた大気重力波は、地球の大気中で最も温度が低い中間圏の上の端(高さ 90 km くらい)まで到達すると、そこで急激に壊れてしまいます。小さな波ほど壊れやすく、壊れる時に熱や力をまわりの大気に放出します。この中間圏の上の端は、波のバリヤーのような役割を持っているのです。一部の大きなスケールの波はこのバリヤーを超えて熱圏まで伝わりますが、このくらいの高さになると大気が薄くて、「すかすか」の状態になるので、大気の波は波として存在できなくなってくるのです。