32.金星はなぜ強い磁場をもっていないの?

地球や木星などとは異なり、金星は強い磁場をもっていません。惑星の磁場がどうやってできているかについては、解明されていないことが多くあり、金星がなぜ強い磁場をもっていないのかはよくわかっていません。

地球に強い磁場があるのは、地球が磁石になっているからです。ただし、地球の内部はキューリー点を超える高温で磁性が失われてしまいますので、永久磁石をイメージすると間違いになります。少し難しい話になりますが、地球内部の磁力の発生原因としては、流体ダイナモと呼ばれるメカニズムが有力視されています。地球の内部にある誘電性の流体が回転し流れることによって、磁場を生んでいると考えられています。

数年前、”The core”という映画が上映されたのをご存知でしょうか。この映画は、「地球内部の誘電性流体の運動が止まって地球の磁場がなくなってしまうと、いったいどういうことが起こるのか?」という内容を扱ったパニック映画です。映画では地球の磁場がなくなることによって、動物が方向感覚を失い、スペースシャトルが制御不能になり、超高エネルギーの粒子が地球上に降り注き、巨大なカミナリが多発する(カミナリが多発するかどうかは難しい問題で、専門家の間で意見はまとまっていません)などの災害が描かれていました。これらの災害(現象)のいくつかについては、実際に磁場をほとんどもっていない金星を研究することによって、知識を得ることができます。ただし"The core" にあるように、近い将来に地球内部の運動が止まってしまうかどうかは、よくわかっていません。