41.金星のひまわりははるか彼方に?

地球の静止軌道に位置する気象衛星「ひまわり」をご存知でしょうか。上空36000キロメートル、東経140度に固定された「ひまわり」から送られてくる地球の雲画像データは、天気予報を始め、さまざまな分野で利用されています。

「ひまわり」のように、地球の自転と同じ24時間で周回し、地球上のある地点から見て静止しているように見えるためには、地球表面から地球半径のちょうと5.6倍の上空に人工衛星を配置する必要があります。この位置は静止軌道と呼ばれていますが、静止軌道の位置は惑星の自転速度に大きく依存しています。

金星の自転はとても遅く、一回転するのに地球の243倍もの時間がかかります。もし、金星に「ひまわり」のような静止軌道衛星を配置しようとすると、金星半径の250倍という、はるか上空に打ち上げることになってしまいます。この高度は、金星と「ひまわり」の間を往復するのに光の速度でも10秒もかかってしまうという「遠い」距離です。