太陽活動の気候影響

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融合研究プロジェクト
「太陽活動の気候影響研究プロジェクト」

黒点数に代表される太陽活動は約11 年の周期的変動と共に、数十年から数千年の長期的変動も示すことが知られています。そうした太陽活動の長期変動が中世温暖期(10世紀~14世紀)以降に見られる千年スケールの気候変動と一定の相関を示すことから、太陽活動は火山活動と共に地球気候の自然変動原因の一つである可能性が指摘されています。特に、マウンダー極小期(17世紀後半~18世紀初頭)には黒点の出現数は著しく少なかったことが分かっていますが、この時期が小氷期と呼ばれる寒冷な時代に対応していることが多くの研究によって示されてきました。

しかし、どのような物理機構によって太陽が気候変動に影響を与えているのかは未だに十分理解されていません。この問題の解明は太陽地球環境研究における科学課題であるのみならず、温室効果ガスによる人為起源の気候変動を定量的に理解し、未来の環境を正確に予測するためにも重要な役割を果たすものです。現在の太陽周期(サイクル24)の活動は過去数十年間で最低になる可能性があるため、太陽活動は静穏なフェーズへ移行しつつあるのではないかと多くの研究者が考えています。このため,太陽活動が21世紀の地球環境にどのような影響を与えるのかを知ることは科学的にも社会的にも喫緊の課題であるといえます。

「太陽活動の気候影響研究プロジェクト」はこの問題を太陽物理学、気象・気候学、海洋学、環境学、古気候学、地球電磁気学、宇宙線物理学等の有機的な融合を通して研究し、我々の環境の理解と予測に貢献するための融合研究プロジェクトです。本プロジェクトでは以下のような研究課題に国内外の研究者との共同研究を通して取り組んでいきます。

  1. 樹木年輪、氷床、永久凍土などの精密な同位体分析を通して、過去の太陽活動と地球環境(古環境)を正確復元することで、太陽活動と気候変動の相関を空間的にも時間的にもこれまでにない高い分解能で明らかにします。(解説①)
  2. 太陽フレアやオーロラに伴って宇宙から大気に降り込む高エネルギー粒子の影響で生成される窒素酸化物や水素酸化物を南極などで精密に測定することで、それらの気候影響を探ります。
  3. 太陽黒点活動の変動メカニズムをコンピュータシミュレーションと観測データの比較から明らかにします。これによって、太陽総放射量や太陽放射スペクトルなど気候変動要因となる過去の太陽活動量を再現すると共に、未来の太陽活動の予測を試みます。
  4. 太陽放射、高エネルギー粒子、宇宙線の変動が気候に与える影響を、地球システムモデルを通して探ると共に、未来の環境変動に対する太陽の影響を予測する研究に取り組みます。

解説①:銀河宇宙線は地球の大気中で核反応を通して宇宙線生成核種を生成します。代表的な宇宙線生成核種(同位体)として、放射性炭素(radiocarbon:14C)やベリリウム10(10Be)があります。14Cの半減期は5730年、10Beのそれは151万年です。銀河宇宙線は太陽風と惑星間空間磁場により散乱されるため、地球軌道上の銀河宇宙線は太陽活動が活発な時期に減少し、静穏な時期に増加します。このため、宇宙線生成核種の分析により過去の太陽活動を再現することができます。宇宙地球環境研究所では、タンデトロン加速器質量分析計を利用してこれらの同位体の精密分析を行っています。

太陽活動の気候影響研究プロジェクト

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