トロムソ滞在記 〜雪のない9月のトロムソ〜 by 櫻井彰宏

2004年9月1日?16日の約2週間、ノルウェーのトロムソにあるEISCATレーダーサイトに滞在しました。9月のトロムソは、それほど寒くはなく、気候は日本で言えば11月くらい。当然、雪も(山頂以外は)降っていません。それでも白夜が終わり、夜になればしっかりと太陽も沈み、天気さえよければ毎晩オーロラのチャンスに恵まれます。そう、天気さえよければ…。 そんな9月のトロムソの滞在中の出来事を少しだけ紹介します。

1. Horse race

EISCATサイト生活4日目。初めての土曜日。そろそろノルウェー生活にも慣れ、周辺のいろんなことに興味が向き始めた頃、サイトの近くのレース場でHorse raceがあるという話をマイクさん(現地の研究者)から聞く。午前中に仕事を済ませ、午後からは小川さん(当研究室助手)とHorse raceを見に行く。思ったより規模が大きいレースだった。図1の写真(左)のように日本の競馬と違って、騎手は馬の後ろに車輪と荷台に付け、それに乗って馬を操り、レースを行っていた。ルールはよくわからなかったがノルウェー語の実況の中、大音量で駆け抜けて行く馬たちを間近で見るのはとても迫力があった。

レース場には、EISCATサイトにいてはとても見られないようなたくさんのノルウェー人が集まる。それを見に行くだけでもHorse raceに行く価値はあると思う。話ができればもっとよかったが、それはなかなか…。

図1:Horse race(左)と馬を見つめる子供達(右)

2. トロムソの町

今回はEISCATサイトを中心に滞在していたため、トロムソの町(図2の写真(左))を訪れることができたのは滞在初日と最終日だけであった。トロムソは港町であるため、船の行き来がある夏の方が冬より町に人が多い。不思議だったのは、平日の15?16時くらいの時間に町に人が溢れていたことだ。なんでこんな時間に?みなさん仕事は??と思いつつも町に人が多いのは楽しかった。トロムソはそんなに大きな町ではないが、町をぶらぶら歩いたり、スーパーで買い物をしたり、博物館で北欧の生活を見たりとしていたらあっと言う間に時間は過ぎ、やっと見つけた町の土産屋はすでに閉まってしまっていた。これから行く人は店の閉店時間だけはしっかりと注意して行くとよいだろう…。

余談ではあるが、トロムソの町のマンホールには北欧の町のせいかトナカイが描かれていた(図2の写真(右)参照)。これも雪のない9月のトロムソ生活ならではの発見!?

図2:トロムソの町(左)とトナカイが描かれたマンホール(右)

3. EISCATサイト

EISCATサイトは町から少し離れた所にあり、先程も言ったようにこのサイトが今回の滞在の中心である。ここは大きな建物もなく、夜になると真っ暗になりオーロラを見るには最適な場所である。そう、天気さえ良ければ…。今回は合計で14日間滞在したが、そのうち夜に雨が降らなかったのは2日間だけであった。こんなに雨が降るのも珍しいらしい。昔からの雨男がこんな形で出てしまうとは…。結局、オーロラが見えたのは初日と最終日の2日間だけであったが、それでも自分の目で実際にオーロラを見ることが出来たのは素晴らしかった。実際のオーロラは写真等で見るオーロラと違ってもっと暗いものではあるが、それでも自分の頭上で、形を変えながらゆらゆらと揺らめくオーロラは一見の価値があると思う。ぜひ自分の目で見て欲しい。

図3の写真はEISCATレーダーを奥に少し入った所にあった小さな丘の上での写真である。もし、これから先に9月にトロムソ観測に行く人がいればぜひこの丘を探して行って欲しい。オーロラに負けず劣らず素晴らしい風景が見える場所なので。

図3:EISCATサイト裏にある小さな丘