LHCf
LHCでの超前方測定実験

LHCf実験は、2007年から稼働を開始する7TeV+7TeV陽子衝突型加速器LHCの陽子衝突点(IP)の0度方向に小型カロリメーターを設置し、超前方へのガンマ線、中性子を測定する実験です

実験の概要

LHC建設中のヨーロッパ原子核研究機構(CERN)

 高エネルギー宇宙線である陽子が大気に突入すると、窒素や酸素原子核と衝突してたくさんの粒子を発生させるカスケードシャワー(空気シャワー)を起こします。高エネルギー宇宙線の観測は、この空気シャワー中の粒子を観測しています。

 空気シャワー粒子は、陽子の進行方向(超前方)に放出された粒子からの寄与が大部分です。通常の高エネルギーコライダー実験では測定が行われない領域です。しかしながら宇宙線観測にはまさにこの領域での陽子反応の知識が問題となってきます。

 LHCでの7TeV+7TeVの陽子陽子衝突は、10の17乗eVの宇宙線の反応に相当します。これまでこのような超高エネルギー反応の実験データは存在せず、最高エネルギー宇宙線の問題や一次宇宙線組成の問題において、解釈の不定性となってきました。それをLHCで実測し、宇宙線物理学の大問題に決着をつけようというのがLHCf実験の目的です。

実験の概要

 LHCf実験では、アトラス検出器のあるビーム衝突点IP1から140m離れた地点で、2本の陽子ビームパイプの隙間に2cm角の小型のシャワーカロリメーターを設置します。この場所では、陽子陽子衝突から0度方向に放出された中性粒子を捕らえることができます。0度方向への粒子放出は莫大であるため、LHCのビーム強度を落として実験を行います。
 まずはLHC加速器が立ち上がる2007年に最初のデータ取得を目指して、実験準備中です。