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CR研では、幅広い興味を持ち、やる気のある大学院生を募集しています
 私達宇宙線研究室は50年以上の長い歴史がありますが, 最先端のテーマを追う若い学生で活気が満ちています. 自分で検出器を作って自分で動かす、ハード, ソフトの両面に強い学生を育てることが教育方針です. 卒業生は企業や研究機関へ就職後, 非常に役に立つ知識と技術を本研究室で習得することができます.

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宙線は英語でcosmic raysと言われます. 私達の研究グループの略称CRはこの頭文字をとっています. 宇宙線は, 宇宙から地球に降り注いでいる自然の放射線で, 1911年にこれを発見したHess, ノーベル物理学賞を1936年に受賞しました.

 宇宙線は今日では超新星爆発の残骸物 (Super Nova Remnant)やその後に残ったパルサーで, 陽子やヘリウム, 鉄の原子核が, “なんらかの加速機構で, 非常に高いエネルギーまで加速された粒子と考えられています. 宇宙には他にも活動銀河核(AGN)やガンマ線バーストなどの超高エネルギー現象が存在し、陽子、ガンマ線、ニュートリノなどの素粒子を放出していると考えられています。 これらの高エネルギー宇宙線を観測し、宇宙線が宇宙でどうやって生まれているのかという問題に迫ることが私達の研究室の主目的のひとつです.もうひとつ重大なテーマがあります. 様々な手段による宇宙の理解が進むにつれ、宇宙の全質量の大部分は説明のつかない物質「暗黒物質」で担われていることがわかってきました。いったいこの正体は何か?これが21世紀の物理学の最大の謎です. 「暗黒物質」の候補として、太陽になりそこなった星「褐色矮星」や、「白色矮星」、宇宙初期に生まれたブラックホールなどの見えない天体が考えられます. あるいは素粒子の基本理論から予言れる未知の超対称性粒子が宇宙空間を漂っているのかもしれません. 私達の研究室では手段にとらわれず、この二つの可能性を両面から探っていきます.
私達の研究室には他にも関連した多種多様な研究テーマがたくさんあります。どれも皆さんのような若い優秀な方々が挑戦するテーマであると確信しています. 以下各研究内容を紹介します.

陽粒子や宇宙線加速機構の研究

 宇宙線がどこでどうやって加速されているのか?その謎を解く鍵が太陽にあります。太陽ではフレアと呼ばれるX線や電波の爆発的な放出が起り、私達の実生活にも大きな影響を及ぼすことがあります。このとき同時に、陽子や電子の加速が起こっていることがわかってきました。超新星残骸のような遠い天体と違い、太陽は我々に最も近い恒星であり、人工衛星や地上の観測でたくさんの正確な情報が手に入ります。 陽子加速の直接証拠を捕らえるためには、それによって生成される中性子やガンマ線、あるいはニュートリノを観測する必要があります. そのため私達は, 日本の乗鞍岳をはじめハワイのマウナケアやチベットなど世界中の高山に太陽中性子望遠鏡を設置し、太陽から飛来する中性子の研究を行っています. 今後はチリのアタカマ砂漠や、宇宙開発事業団と協力して宇宙ステーションにも中性子望遠鏡を設置する予定です。
これまで見つかった最も高いエネルギーを持つ10の20乗電子ボルトの宇宙線の存在は大きな謎を呼んでいます. そもそもこのような超高エネルギー粒子が大気中でどんな反応を起こすか実験データが無く、よく分かっていません. 我々は、2007年からスイスで稼動予定の世界最高エネルギーの陽子衝突型加速器、ラージハドロンコライダー(LHC)で、超高エネルギー宇宙線の反応を調べようというLHC超前方測定実験(LHCf)を準備中です。院生の皆さんに期待することは、素粒子検出の最新技術を学んで新検出器の開発を行いながら、世界最先端の研究現場で宇宙線の加速機構やその反応機構を解明することです

力レンズ効果による暗黒物質と太陽系外惑星の探索

我々の太陽系周辺や, 銀河のハローには, 核燃焼をすることのできない軽い天体が多数あると考えられています. これが暗天体(MACHO)で暗黒物質の有力候補です. 光っていないこのような天体を検出する方法に重力レンズ法があります. 視線上を暗天体が通過した時,その背景の天体が一瞬増光することを重力マイクロレンズ現象と呼びます. このような現象は百万個の星を毎晩観測して, 見つかるのは年間1例程度です. 私達は世界で最も南にあるNZのマウントジョン天文台に専用望遠鏡としては我が国最大の1.8m級の光学望遠鏡を日本から持ち込み, それに12cm×10cmの大面積CCDカメラを取り付け暗天体を探します. 私達はこの手法を用いて、これまでで最も軽い太陽系外惑星の発見に成功しました. 地球ほど軽い惑星を検出する方法は、今のところ重力マイクロレンズが最も有力です. 皆さんに期待するのは, ニュージーランドでの夜間の観測と, 毎晩得られる五千万個近い莫大な星のデータの整理です. 天文のハードの基礎であるCCDカメラと, データ解析が同時に勉強できます.

下実験によるニュートリノ実験やWIMPの研究

 ニュートリノはほとんど物質と相互作用しない素粒子で宇宙空間のあらゆる物質を貫通して地球に届きます。この素粒子で宇宙を見れば、レントゲン撮影のように、他の物質のベールに隠されている現象を明らかにできます。実際、太陽での核融合の証拠や超新星の爆発メカニズムは、ニュートリノの検出によって確かめられ、この業績で小柴昌俊教授は2002年ノーベル物理学賞を受賞しました。私達の研究室では巨大地下ニュートリノ観測施設スーパーカミオカンデで得られたデータを解析して、太陽フレアによって生まれたニュートリノや、超新星やガンマ線バーストから飛来する宇宙ニュートリノの探索を行い、ニュートリノによる太陽や宇宙の解明を行おうとしています. また同じ地下観測施設では、「暗黒物質」のもうひとつの候補「超対称性素粒子」を捉える液体キセノン検出器の開発も行っています. 皆さんに期待することは、スーパーカミオカンデや新しい暗黒物質検出器の開発を行いながら、未来の宇宙物理学を切り開いていくことです

宙線と地球環境との関連の研究

 地球に降り注ぐ宇宙線は実は地球の気候や環境を左右しているかもしれません. 太陽の放射強度はずっと安定ですが、その磁場活動は11年周期で変化し宇宙線強度に影響します. 私達は樹齢700年の屋久杉の年輪に含まれる放射性炭素14の濃度変化を測定し、過去の宇宙線強度と太陽活動との関係を研究しています. また、宇宙線が地球の雲形成に大きな影響を与え、気候変動をコントロールしている、という説があります. 私達は素粒子実験に使われる霧箱を使ってこの説の検証を試みようとしています.