メキシコの太陽中性子望遠鏡は、シェラネグラ山に設置されています。 この山頂では、口径50mの大型ミリ波望遠鏡 (LMT: Large Millimeter Telescope) が建設中であり、本太陽中性子検出器は山頂の一隅に建設されました。
上の図は、シェラネグラに2003年に設置された太陽中性子望遠鏡の 模式図です。構造はチャカルタヤのものと似ていますが、中性子と 電荷を持った粒子を区別するために、比例計数管と呼ばれる検出器 でまわりを覆っています。電気を持った粒子は比例計数管で信号を 出しますが、中性子は素通りしてしまうため、区別することができます。 また、図にはありませんが、検出器のまわりを鉄や鉛が囲んでいます。 これにより、中性子と同じく電荷を持たないガンマ線は、鉛や鉄との 相互作用で電子に変換されるため、これも比例計数管によって中性子 と区別されます。従って、中性子の識別能力はチャカルタヤと比べて 高いもとのなっています。
山頂で建設されていた LMT は、当初2005年に完成予定でしたが、 建設が大幅に遅れました。それでも少しずつ計画は進行し、2011年夏には ようやく電波観測ができるようになりました。