研究内容・大学院案内 名古屋大学 宇宙地球環境研究所(ISEE)岩井一正 (Kazumasa Iwai)

名古屋大学、宇宙地球環境研究所(ISEE) 岩井一正(Kazumasa Iwai

大学院進学のご案内

巨大な電波望遠鏡の開発や、その望遠鏡を用いた観測的研究をしています。大学院進学の参考にしてください。

気になる研究テーマがあればお気軽にお問い合わせください。 連絡先はこちら

主なテーマは以下のようなものです。
  • 宇宙天気予報の実用化
  • 次世代望遠鏡の開発研究
  • 太陽や太陽からの噴出物の観測的研究
  • 宇宙天気予報の実用化に向けた研究

    太陽では大小様々な爆発現象が発生し、太陽大気の一部が「コロナ質量放出(CME)」として宇宙空間に向けて放出されます。CMEは地球に到来すると地球周辺環境に擾乱をもたらし、電波通信や人工衛星・航空機の航行、GPS測位など、社会生活に様々な影響を与えることがあります。そのため、CMEの到来を事前に予報することが重要です。
    名古屋大学宇宙地球環境研究所(ISEE)では独自の大型電波望遠鏡を用いた惑星間空間シンチレーション観測(IPS観測)から太陽風やCMEの観測を行っています。IPS観測では、太陽系外の天体を電波観測し、その観測中にCMEが天体と地球との間を横切ると、天体からの電波を散乱することからCMEを検出できます(図1)。本研究では、日本の宇宙天気予報業務を担う情報通信研究機構(NICT)で開発が進められるCMEの予測モデルに、名古屋大学ISEEのIPS観測データを同化させることで、予報精度を高める開発研究を進めています。 詳しくはこちら

    図1: IPS観測によってCMEの接近を検出する模式図。観測対象である電波天体と地球との間にCME前面に形成される高密度領域が通過すると、天体からの電波が強く散乱されることを図示している。

    次世代望遠鏡の開発研究

    宇宙の観測のためには巨大な望遠鏡が必要です。特に私たちは電波を使って宇宙を観測しているので、電波望遠鏡を用います。私はこれまで、電波望遠鏡そのものや、電波望遠鏡に搭載する計測機器の開発研究を推進してきました(図2)。電波望遠鏡の開発では、コンピュータを使った設計や、精密加工機を使った製作を行います。自分で半田付けをすることも多々有ります。また、実際に望遠鏡のある現場に出かけて調整や観測を行います。
    現在、私たちのグループでは、次世代のIPS観測に向けた新型望遠鏡の開発計画を立案中です。2020年代に完成を目指すこの望遠鏡には多くの最新技術が必要とされます。現在、その基礎研究を進めています。この開発研究は高い評価を得ており、比較的潤沢な研究費が投入されています。 詳しくはこちら

    図2: 以前開発した周波数解析機。FPGAを多数組み合わせた最新のエレクトロニクス技術が駆使されている。

    太陽や太陽からの噴出物の観測的研究

    太陽や太陽からの噴出部を電波望遠用を用いて観測する手法を用いて太陽物理学の研究をしてきました。 名古屋大学では、太陽から吹き出る太陽風や太陽大気の塊であるCMEを電波望遠鏡を用いて観測し、その生成や加速・伝搬のメカニズムの解明を目指しています。