● 2015年3月20日、ライダーの保守でたまたまニーオルスン滞在中に皆既日食に遭遇。その様子を下のYouTubeにアップロードしています。

2012年5月、自宅で金環食を見る事ができましたが、皆既日食は始めての経験で、大変印象的でした。
 ライダーは2014年3月に観測を開始して以降、ほぼ連続的に観測を続けており、機器は極めて良好な状態を保っています。保守のため現地に下記の5月のあと、7月、10月、12月、3月に出向き、消耗部品を交換しました。

● 2014年5月3-14日、ニーオルスン・ライダー保守
観測を開始してほぼ二ヶ月、レーザの保守部品交換のためにニーオルスン入り。
3月に比べると日が高くなり、太陽は一日中出たままです。
  
晴れると真夜中でもとにかくまぶしい。

でも、北緯80度はあなどれず。まだ気温は氷点下10度以下になることもしばしばあり、雪も結構降ります。
  
ライダーコンテナの入り口はこんな状態で、雪かきが大変でした。


● 2014年4月、ニーオルスン・ライダー観測、快調
3月に開始したニーオルスンのライダー観測は、通常は無人でデータの転送やレーザの操作はインターネットを通して行います。
連続運転でレーザを酷使しますが、ほぼ1ヶ月快調に観測を継続しています。現地の状態はネット経由のPCとwebカメラで監視し、データは日に一度ftpで転送します。
  
4月12日の観測結果。右端中程、黄色から赤の部分は雲、それ以外の縞模様はエアロゾル粒子の時間-高度分布。
このようなデータが連続でとれています。


● 2014年3月4-22日、ニーオルスン、ライダー観測開始
昨年より準備を重ねてきたニーイルスンでのライダー観測を開始しました。
  
ライダーコンテナに設置したライダー。

設置には福岡大・白石さん、防衛大・岩崎さん、名古屋大・柴田があたりました。手こずったのは天窓にはめ込んだ窓ガラスで、外は氷点下10度以下の低温、 加えてしばしば雪が降りますので、外に雪、内側は水蒸気がガラス表面に凝結して曇る、という状態になります。
 
天窓と表面に積もった雪。

試行錯誤の結果、測定器の冷却排気をダクトを通して天窓部分に導入し、温度を上げることで曇りをとり雪を溶かすことができるようになりました。
3月のニーオルスンは極夜明けの季節で、絶景が堪能できます。



● 2013年9月7-14日、北極ヘイズ観測の現地 ニーオルスンの調査。
福岡大学の白石さんとスバールバル、ニーオルスンの現地調査に行ってきました。1993年から通算21回目です が、今回は2004年2月以来で10年ぶりのニーオルスン訪問ということになります。 まさに十年一昔でいろいろなことがだいぶ変わっていて、印象深い訪問でした。
・ここ数年、日本はデフレで物の値段はあまり変わっていないかむしろ下がっていますが、 ノルウェー経済は調子が良いようで、緩やかなインフレ。その蓄積による差は大きく、ものの値段は日本の5割増から倍程度に感じます。
・世界的なことで、ノルウェーに限ったことではありませんが、かの「ニーオルスン」を含めた空港のセキュリィティーがますますきつくなっていますね。
・オスロ空港のチャックインが原則チェックインマシンによるセルフサービスに。今後日本でもこうなるのかな?
そういえば、我々が帰りに泊まったオスロのホテルのチェックイン・アウトもチェックインマシンでのセルフサービスでした。これは安ホテルだけかな?
・そこかしこに、セブンイレブン他の簡易カフェが、またスターバックスもできていて、この辺、日本と同じ、、、
・ニーオルスンから見える氷河がずいぶん後退しているように感じます。
           
    Rabben(極地研北極観測センター、ニーオルスン基地)南にある氷河。左端はツェッペリン山。

しかし、ニーオルスンの野生生物は相変わらず近くまで出てきています。
           
    Rabbenのすぐ横まで近づいてきたトナカイ。

私は見ませんでしたが、白熊もうろついていたそうで、そのためライフルを携行せずに出歩くのは禁止されています。

ニーオルスンでは観測開始当初から(1993年〜)たまっていた残置物品を、「送り返し」、「現地処分」、「引き続き使用」、 に徹底整理し、ライダーコンテナ内の約半分を占領していた段ボール箱や物品を下の写真のように減らしました。「現地処分」 のため、ゴミ分別をするのに三泊四日の滞在で、まる二日を費やしました。二十年分の残置物品で、ゴミ屋敷ならぬゴミコンテナ になっていたわけですね。
           
    整理後のライダーコンテナ内部の様子。

コンテナ内部を整理し、新たにライダーを設置するスペースを確保しました。このほか、Rabben本棟からのLANケーブルの配線や天井にガラス窓を入れるためのコンテナ天窓穴付近の採寸などライダー観測開始のための予備調査や準備作業をやってきました。
           
    ライダーコンテナを上から見た写真。

● 2013年5月25日、北極ヘイズ観測に使うライダーの試作機完成。
高度300mから30km程度までのエアロゾルと雲の高度分布を連続観測することができます。インドネシアや母子里で使っている ライダーと設計は基本的に同じですが、いろいろ細部の改良でデータの質は向上しています。
           

● 2013年4月、昨年申請していた科学研究補助金、基盤研究A(海外学術調査) 「北極ヘイズが氷雲粒子濃度に与える影響に関するライダーとレーダによる観測研究」の交付が決定。
ノルウェーのスバールバル諸島スピッツベルゲン島北西に位置するニーオルスンで、千葉大/極地研が設置する雲レーダと名大が設置する 雲エアロゾルライダーの同時観測を実施します。ニーオルスンは、90年代、北極成層圏雲(PSC)の観測に名大から大勢が出かけました。今回、久しぶりに訪ねるニーオルスンで、現地の変化が楽しみです。

● 2013年3月、2010年度から三年間の計画で続けてきた科学研究補助金、基盤研究A 「低緯度上部対流圏エアロゾルの特性解明」による研究が終了。
いくつかの幸運も重なって、面白い観測結果が得られました。すでに出版済みの成果は出版物の ページに掲載されていますが、特に、論文

"Cirrus cloud appearance in a volcanic aerosol layer around the tropical cold point tropopause over Biak, Indonesia in January 2011", T. Shibata, M. Hayashi, A. Naganuma, N. Hara, K. Hara, F. Hasebe, K. Shimizu, N. Komala, Y. Inai, H. Voemel, S. Hamdi, S. Iwasaki, M. Fujiwara, M. Shiotani, S.-Y. Ogino, and N. Nishi, J. Geophys. Res., 117, D11209, doi:10.1029/2011JD017029, 2012. (link)

では火山噴火雲(硫酸水溶液エアロゾルが主成分)の中で巻雲が生成する事象をとらえた結果とその解釈を紹介しています。
このほか、福岡大・林さんを中心に、気球搭載の加熱吸引口付きのOPC(光学粒子計数計)で計った不揮発性エアロゾルの高度分布は、 (まだ論文は準備中ですが)従来の予測を覆す、わくわくするような結果が得られています。
熱帯圏界面の研究については後続の研究を計画しているところです。

● 2013年1月3-16日、インドネシア、ビアクにてSOWER観測キャンペーンに 柴田、櫻井が参加。
ライダー観測と数種類の気球観測を実施。観測の状況はここ。 LAPANへの活動報告・short report
 ## 柴田、後半体調崩す。「もう年」と本人嘆く。

            
            ライダーのレーザ光線と望遠鏡
 
(左)気球観測の様子
(右)観測参加者の集合写真(左から2人目、櫻井・名大、3人目、4人目、河合、林・福岡大、5人目、7人目、杉立、清水・北大、 右端、柴田・名大、右から5人目、本田・JAXA、その他のメンバーはインドネシア航空宇宙局(LAPAN)の職員)

● 2012年10月15-19日、ホノルルで米日TTLワークショップが開催される。柴田、櫻井が出席。 なかなかハードでしたが中身の濃い会議でした。ワークショップのwebサイトより全ての講演の動画、およびポスターを見ることができます(ここから)。IGACホームページにあるニュースレター(2012 Nov.)の39ページに照会記事と参加者の集合写真が照会されています。

 
(左)櫻井、ポスター発表。右は防衛大・岩崎さん。
(右)「・・、なお観光は無し。以上。」という会議でしたが、最終日、文字通り駆け足で立ち寄った定番のWaikikiビーチ。

● 2012年10月3-5日、日本気象学会秋季大会(札幌)に近藤(M2)、木下(M2)、櫻井(M1)が参加。それぞれの発表題目は、
近藤、「CALIPSO で観測された2010/2011冬季の北極PSC」、
木下、「CALIPSO を用いた2011年1月に出現した火山性エアロゾル層の起源の解明」、
櫻井、「熱帯圏界面層でのエアロゾルと巻雲生成に関する数値実験」。

● 2012年9月、D2のAmit Kumar Mishra君 がインドガンジス領域のエアロゾルの研究で学位取得。2年間での短縮修了。10月はじめに帰国後、イスラエルの Weizmann研究所PDに就任。

● 2012年4月、Atmospheric Environment, 及び Journal of Geophysical Research, Atmosphere に投稿していた論文2編が受理される。 (出版物のページ参照)

● 2012年1月4-19日、インドネシアのビアックで熱帯圏界面付近の雲と湿度の観測キャンペーンに柴田と櫻井(B4)が参加。 昨年に引き続き圏界面付近にエアロゾル層があり、その中に巻雲ができるような事象も再び観測できました。

● 2011年3月31日、稲飯洋一 氏、助教離任。

● 2011年1月4-15日、インドネシアのビアックで熱帯圏界面付近の雲と湿度の観測キャンペーンに 柴田が参加。圏界面付近に火山起源と思われるエアロゾル層があり、その中に巻雲ができるような事象も観測できました。 福岡大学と協力し、気球搭載OPC(光学エアロゾル粒子計数器)によるエアロゾルの測定も成功し、大変面白いデータが取得できました。

● 2010年4月、昨年申請していた科学研究補助金、基盤研究A 「低緯度上部対流圏エアロゾルの特性解明」の交付が決定。

● 2010年4月5日、Amit Kumar Mishra 氏、インド、文部科学省奨学生として来日。

● 2010年4月1日、稲飯洋一 氏、助教着任。

● 2010年2月1日、M2(牧山、上本)の修士論文公聴会。

● 2009年10月-12月、インド、Andhra大学、物理学科教授Kandula Niranjan先生が客員教授として着任。

● 2009年2月3日、M2(圓若、楊)の修士論文公聴会。

● 2009年1月5日−1月17日、インドネシアのビアックで熱帯圏界面付近の雲と湿度の観測キャンペーンに 柴田、上本(M1)が参加。今年も装置の調子が良く、天候にも恵まれ昨年以上に面白いデータが取れました。

下の図は2009年1月8日から16日にかけてビアクライダーで観測された巻雲。今年は一日周期の高度変化の様子が見えています。             

● 2008年1月10日、インドネシア、ビアク島(1S、136N)、ライダーで観測された巻雲。高度11-14kmの比較的厚い巻雲の上、 高度17km付近の圏界面直下に非常に薄い巻雲が現れています。熱帯でよく見られるタイプの巻雲です。             

● 2008年10月、下の纐纈君の卒論の一部が気象学会英文レター誌SOLAに掲載されました。(pdf)

● 2007年10月、名古屋大に設置しているライダー観測で、対流圏上部に通常は見られない偏光解消度がほぼゼロの雲が見つかりました。CALIPSOのデータでも同様の雲が南アジア地域を中心に見つかり、種々検討の結果、紅海イエメン領の島にあるアルタイール火山の噴火雲であることが突き止められました。 纐纈くん(B4)の卒論はこの雲の観測や解析に関するもので、なかなかの力作でした。