JAXAが提供する無償打ち上げ機会として革新的技術実証衛星があり、本研究の中でも その4号機の公募(2022年6月アナウンス、2022年7月末申請締め切り)への応募申請を行 った。結果は2023年2月に発表されたものの、2022年11月のイプシロンロケット失敗の 事故の影響もあり、残念ながら採択には至らなかった。次回5号機の公募が2024年に予 定されるため、今回の開発経験を活かし、その時に再挑戦する予定である。 その他、国際宇宙ステーション(ISS)上での実験の可能性も視野に入れている。
京都大学理学研究科の榎戸輝揚氏がリーダーを務める月水資源探査計画MoMoTaroも中 性子を用いて水資源の探索を狙う日本発のプロジェクトである。このプロジェクトで もGAGGシンチレータ/プラスチックシンチレータとシリコン半導体光センサMPPCの 組み合わせが用いられ、多チャンネル読み出しが行われる予定である。そのため、本研究で開発した 内容・資産が十分に活かせる可能性があり、2022年11月にチームへの招待を受けて、 参画することに決定した。今後お互いに意見交換を行いながら、近い将来の我が国によ る水資源探査への貢献を行っていく。
最近の電子デバイスの精密・高密度化により、コンピュータは放射線の影響を受けや すくなる傾向にあり、地球大気と相互作用して生じる2次宇宙線であるミュー粒子(荷 電ミューオン)や中性子によるシングルイベント効果(アップセット(ビット反転事象) やラッチアップ(短絡による異常))の影響を受け、地上でも不具合がおきる傾向にある。 そのため、常時2次宇宙線の頻度をモニタすることは有意義であると考えられ、荷電粒 子と中性子どちらにも感度をもつ我々のセンサを常時稼働することで2次宇宙線環境 をモニタできる。また、その他、小型・軽量・低消費電力であることから可搬型で、 除染作業や構造物の透視技術への応用も考えられる。