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ノルウェー・トロムソ滞在記


久保田賢(M2)

私は201011月に2週間ほどノルウェー・トロムソに出張しました。その出張中に起きたことや、思ったことなどを書きたいと思います。



(1) 出発

私は同じ研究室の津田さんと成田空港からデンマークの首都であるコペンハーゲン、ノルウェーの首都であるオスロを経由し、トロムソへと向かいました。トロムソに何度も足を運んでいる津田さんから、出発前日と当日に「空港は寒いから、防寒具は機内に持ち込むように!!」と何度も言われていたにもかかわらず、私は防寒具を機内に持ち込むことを忘れてしまいました。コペンハーゲン空港で合流した野澤先生からは、「そのような格好でトロムソに行く奴は見たことない!!」といわれ焦りました。幸運にもオスロ空港で、預けた荷物から防寒具を取り出すことができたので良かったのですが、オスロとトロムソの空港は、日本人には寒く防寒具は必要かと思います。


(2) EISCATレーダーサイト

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EISCATレーダーサイトの北側にある山」


EISCATレーダーサイトは、テレビで見るような北欧の風景が広がりとても綺麗でした。また、初めての北欧ということもあり、気分も高揚して、氷点下でさえも嬉しく思いました。

EISCATレーダーサイトに滞在中、プレと呼ばれる宿舎で私と津田さんは滞在しました。プレはとても綺麗で、リビングの窓は大きく、置いてある家具などはおしゃれです。また台所もとても広く、コーヒーメーカーやポットまで揃っています。

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      「プレのリビング」


(3) フード作成

到着後すぐに、津田さんとNaライダーのコンテナに取り付けるフード作成を行いました。このフード作成作業はかなり重要で作成しないとNaライダー観測ができないとのことでした。昼食後に、津田さんから完成するまでの行程を聞きました。作業内容と観測開始までの時間を考えて十分間に合うと思ったのですが、作業時間が段々と経つにつれ、体の末端の間隔が麻痺していき、-15度の屋外での作業と慣れない作業で思いのほか時間がかかってしまいました。

このフード作成作業が滞在中一番寒さを感じた時間でもあり、つらかったことでもあります。

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     「作成中のフード」



(4) Brekke
先生と打ち合せ

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   Brekke先生との打ち合せ」


EISCATレーダーサイトに滞在して3日目、トロムソ大学のBrekke先生と打ち合せを行う為に、野澤先生に運転してもらい、大山先生と3人でトロムソ大学へと向かいました。Brekke先生との打ち合せでは、全て英語で行いました。Brekke先生は、英語が出来ない私のために会話のスピードを私に合わせて下さいました。それでもわからない時は、紙に絵を書いて説明して下さり、とても優しかったです。ですが、先生の前で英語を話すのは緊張します。高度200 kmのことを、間違えて英語風に「にひゃくキロメータ−」と言ってしまい、とても恥ずかしかったです。


(5) EISCATレーダーサイトで働く研究室の人々

一面銀世界のEISCATレーダーサイト内を走って移動していると、野澤先生に「久保田、走るな!」と一喝されました。そして、そのあと、「もし、お前が骨折でもしたら、全てスケジュールがパーになるし、使いものにならなかったら困る。」といろんな意味を含んだ言葉をあの野澤先生の厳しい顔で言われました。ただ、EISCATレーダーサイトのコントロールルームで野澤先生と一緒に居たとき、疲れている私をみて「寝ていろ!」とおしゃって下さったり、トロムソにきて、体を慣らすための心構えを教えてくださったりととても優しい一面もありました。ちなみにEISCATレーダーのオペレーション中、コントロールルームで、一人で寝ることを「人柱」と呼ぶようです。私は全日、人柱になりました。(みなさん、すいません。)


大山先生についてです。観測サイトに着いてその日の夜、リビングの全ての照明をつけて、晩ご飯を食べていると、大山先生が入ってきて、「光学機器に影響が出るから、食べているところ以外のリビングの電気を消して!と言われました。このとき、初めて私は光学観測を使用して観測を行っているんだと実感しました。(かなり遅い実感ですが・・・。) また、大山先生はアラスカで暮らしていたせいか、名古屋で見るよりも元気に見えました。スキーウェアーを脱ぐとTシャツ姿だったのですが、私には考えられませんでした。思わず、2度見していまいました。


そして最後に津田さんについてです。津田さんにはとても滞在中、何から何までお世話になりました。滞在中のほとんど、津田さんにご飯を作っていただきました。観測になると津田さんはいつもの津田さんからは想像できないほど、自分自身に厳しくなります。Naライダー観測開始前から天候が荒れていて、これは今日の観測は無理だなと、感じていても天気予報を見て、数時間後に晴れ間のマークが少しでもあると、ずっと起きて待機して観測をしています。そして、私には寝ていいよ。と優しい言葉をかけてくれます。トロムソ滞在の最後の方の津田さんは、見ていて痛々しいくらい疲れていました。いろいろ迷惑をかけて申し訳ないなと思っています。


(6) 最後に

今回の海外出張で体験したことは、今までに体験したことがないことばかりで、精神的にも体力的にも疲れました。しかし、体験記には上手く表現できないので書きませんでしたが、実際に見るオーロラは北欧に来たことを後悔させないくらい綺麗でした。また、この綺麗なオーロラにまつわる研究をしていることを幸せに感じました。このような出張の機会を与えて下さった研究室の皆様にはとても感謝しております。


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