〜○○先生とゆかいな仲間たち〜
高橋透(M1)
ミスは誰にでもあるよ。でも2度目は許さないからね。(先生より)
出発当日の朝はいつもより早めに大学に着いた。研究室のドアを開けると、もう2人は研究室に来ていた。今回の参加者、K先輩(M2)、Hくん(M1)である。K先輩は相変わらず、僕の「おはようございます。」に対して虫の鳴くような声で返事を返してきた。いつもと変わらない光景である。
午前10時、先生の号令で皆、車に荷物を積む。
先生 「この車カーナビないね。」
事務の女性「申し訳ございません。手配し間違えました。代わりに地図をお渡しします。」
K先輩「すごい、この地図北海道まであるやん。北海道まで行けますね。」
事務の女性「・・・・・・」
荷物が積み終わったので、出発。
行きの車の中は、高速道路に乗ってから終始旅行気分。
先生 「昼飯、どこで食べたい?」
K先輩 「去年だと、談合坂で食べました。」
先生 「その前に休憩しなかったっけ?」
K先輩 「去年だと、恵那峡で休憩しました。」
先生 「何回くらい休憩しようかな。」
K先輩 「去年だと、3回くらいしました。」
K先輩 「透ちゃん。去年使ったサービスエリアの地図とって。」
K先輩がいちいち吹かす先輩風が少しうっとうしかったけど、楽しかったからまぁいい。
極地研究所到着はおよそ16時。小川先生に挨拶をしてから、校正実験室に入った。校正実験室では白衣を着用。おそらく、白衣の着こなしに関してお互いに言いたい事もあったと思うが、皆我慢した。
恐ろしいほどのスピードで配線を済ませた。完璧だ。
1日目の作業はこれで終了。明日からのハードスケジュールに備えて、立川に夕飯を食いにくり出す。K先輩の発案で回転寿しに行く事になった。
回転寿し、その名も「○○丸」。うまそう〜
シャリが固かった。先生とHくんが腹を壊した。ナニコレ?
今回はホテルではなく新しくできた極地研のゲストハウスに泊まった。新しいだけあって綺麗だった。寒かったけどね。
校正実験1日目終了。
校正実験2日目は早かった。あっという間に時間が過ぎて夜になった。そんなときに1つ目の事件は起きた。
Hくん 「あ、あ、あ、あの。ログノートを宿に忘れました。走って取ってきます。」
高橋 「じゃあ、その間に積分球光源の暖機始めます。」
30分後、
校正実験室に戻ってきたのはHくんではなく極地研大先生だった。
大先生 「ちょ、○○先生!おたくの学生が拘束されてます。おそらく鍵を持たずに研究所に入ろうとして取り押さえられたのでしょう。」
先生 「じゃあ。私が迎えに行きますよ。」
恐ろしいほど冷静な先生を見て少し頼もしく思えた。
K先輩 「先生はこうでなくっちゃ!」
やはり、拘束した人も先生に気圧されたのか、Hくんは難なく解放され校正実験室に戻ってきた。
先生 「じゃあ、実験再開だね。暖機は済んだかな?」
高橋 「はい。ばっちりです。」
K先輩 「透ちゃん、”LAMP IS OFF”って表示されてるよ。」
この後もHくんが手回し発電の懐中電灯を回しすぎて壊したり、高橋の配線ミスで実験がやり直しになるなどM1が散々、足を引っ張りながらも順調に校正実験は進んで行った。この順調さが怖いとK先輩が小さい声で言ったのを覚えている。
データのハンドリングに手こずるK先輩と高橋
K先輩の予想とは裏腹に実験はほぼ日程通りに進み、最終日がやってきた。最終日は午前中を使って自動観測プログラムのテストだけさ。
このあとHくんの「Go」サインで実験が始まる
高橋 「先生。すみません。ゲストハウスに忘れ物してきました。」
先生 「チェックアウトしちゃったんでしょ? 極地研の事務に伝えとくよ。」
高橋 「すみません。ありがとうございます。」
あっという間に午前が過ぎ、極地研とお別れの時間に。
先生 「よし、帰るよ。忘れ物は無い?」
K先輩 「はい。」
Hくん 「あ、あ、あ、はい。」
高橋 「すみません。さっきゲストハウスに忘れたって言ってた物、実は鞄の中に入ってました。」
先生 「高橋君はこれからチェックを2度も3度もする事!!いいね!!」
高橋 「はい…。すみませんでした。」
帰りの車ではKとHが寝る
という暴挙に出るも先生は何も言わなかった。疲れた2人を労ってくれたのだろう。
でも助手席に座る僕に「携帯電話のカメラで2人が寝ている証拠写真を撮っておいて」って言ってたから、もしかしたら怒っていたのかもしれない。
僕は助手席で校正実験を振り返っていた。素直に楽しかったなと思った。1年に2回くらいならいいなって。
屏風山で、名古屋帰る一行は流れ星を見た。きれいな、きれいな流れ星を見た。
僕は来年も今年みたいに楽しい校正実験になる様に流れ星に願い事をした。
Hは寝ていて見てないらしい。流れ星にでもなった夢でも見てるのかしら。
明日から、また頑張ろ。
実は高橋透が靴をゲストハウスに忘れてきたのはまた別の話。。。