検出器シミュレーションと検出器形状決定

般に中性子・ガンマ線センサは、サイズが大きければ大きいほどその検出感度が高く なるが、数10 cm以上数 mといった大きなものは宇宙空間での観測においてはリソースにも 限界がある。本研究では、ティッシュ箱くらいの大きさのキューブサットと呼ばれる超小 型人工衛星や惑星地面を動きまわる探査車(ローバー)に搭載することを目指し、10 cm角程 度 10 cmx15 cmx15 cmの大きさ、重量は約3 kg、消費電力6 Wに収まることを目標とする。 はじめに正確な形状や構成する物質の組成・密度を入力し、仮想的にセンサを計算機上で 作り出す。そこに放射線(ここでは中性子とガンマ線)を入射して放射線と物質の反応を調 べる検出器モンテカルロシミュレーションをGeant-4と呼ばれる公開ツールを使って行っ た。検出部には多層に並べた棒状のプラスチックシンチレータ(1本が4 mmx4 mmx64 mmの大 きさを256本)とアレイ型のGAGGシンチレータ(6 mm角の立方体を12x12の配列に並べる)を用 いる。この2つのシンチレータの配置と組み合わせにより、これまでにない中性子・ガンマ 線の同時検出が可能となる。シミュレーションの結果、図1に示した形状で中性子のエネル ギーを決定し、ガンマ線のエネルギーや撮像を行うことができることを示した。サイズは 64x64x72 mmで、検出器の信号処理回路や筐体を考えると10 cm角程度に収まる大きさとな る。

Figure 4.1: センサ断面図とシミュレーション
Image detection_method Image simulation