超小型衛星搭載を見越して、センサのほぼ全てを名古屋大学内で製作する形で開発した ことはこれまでになく、本研究は宇宙環境での観測実現に向けての第一歩となった。特 に限られたリソース(サイズ、重量、電力、電気的インターフェース、データ容量)や特 有の宇宙環境(振動や熱真空環境)をクリアすることを求められるため、通常の地上実験 と比べるとハードルが高くなる。設計としては、以下の点でユニークである。 A)電子回路部品に信頼性の高い車載部品を積極的に利用するなどの方策をとり、また、 主要部品については可能な限り宇宙実績品や放射線試験を行って用いている。 B)ポリイミド製のフレキシブルケーブルを使うなど配線の省スペース化に務めている。 C)700をこえるセンサ信号を処理でき、かつ、低消費電力・コンパクトである。 D)ロケットの振動にも耐えられる構造設計となっている。 今後、さらに性能を追求、また、グレードアップして衛星搭載品に備えることを目的と する。超小型衛星などで700を超える大量のセンサ信号を扱うシステムは他にはなく、難 易度は高いが大変ユニークなものであることを強調しておきたい。