38. 海にも桜前線があるって本当?

毎年春になると桜の開花予報が出ます。桜前線は南から北に進んでいきます。海の中にも開花前線があります。桜の開花も、植物プランクトンが大量に増えることも、英語ではブルームと呼ばれています。植物プランクトンには花はありませんので、本当は開花ではありません。しかし、海のブルームも、桜の開花のように、春になると南から始まって、北に移動していきます。桜は気温の上昇によっていつ咲くかが決まっていますが、植物プランクトンはどうして増えるのでしょうか?

冬の海は、水が表面から冷やされていて、良く混ざっています。深い水と混ざることによって、栄養分は表面でも豊富に存在します。しかし、植物プランクトンは水と一緒に、光のない深い場所に運ばれます。深く暗い場所に長くいると植物プランクトンは増えることができません。春になると、海の水は表面から温まって深い水と混ざりにくくなり、上の水の植物プランクトンにはいつも光が当たるようになります。光と栄養分がある快適な環境で、植物プランクトンはどんどん増えて、ブルームが起こります。やがて植物プランクトンは栄養分を吸収しつくして、後から増えてくる動物プランクトンに食べられたりして減っていきます。ブルーム(海の桜前線)は、海の生物たちにとって餌が増えることになりますので、魚、クジラ、海鳥などがこれを追って移動しています。また、ブルームの大きさやいつ起こるかによって、その後に捕れる魚の量も変わってくることがわかり始めています。